建設業許可申請の要件

ちょっと前に建設業許可申請の相談がありました。建設業許可というともう、行政書士って感じですね。簡単に建設業許可について整理したいと思います。

建設業許可とは

建設業でいえば、誰にでもできるわけです。自営業と同じです。しかし、なぜ建設業許可が必要になるかというと、工事によって許可が必要な工事、不要な工事があるからです。建築一式工事は請負代金が1,500万円以上か、木造住宅で延床面積が150㎡以上の工事、建築一式工事以外の工事は請負代金が500万円以上の場合です。これら以外の工事は軽微な工事に該当し、許可は不要です。いわゆる元請けになるようになった時に、建設業許可が必要となるわけです。

建設業許可の要件

建設業許可の要件は次の5つです。

  • 経営管理責任者
  • 専任技術者
  • 財産的基礎
  • 営業所
  • 結核要件に該当しない

経営管理責任者

法人であれば常勤役員、個人であれば本人か支配人が一定の経営経験を有している必要があります。建設業には28種類の業種に分類されていて、同じ業種で5年以上、異なる業種で7年以上の経営経験が必要になります。

専任技術者

専任技術者は営業所に常勤していて、一定の技術を要します。一定の技術というのは、国家資格があるか、10年以上の実務経験を意味します。

財産的基礎

財産的基礎とは、要は現金です。法人であれば自己資金、個人であれば預金残高で500万円を基準とします。

営業所

営業所というのは、少し漠然としていますが、経理事務、書類の保管、応接ができる環境を意味します。

欠格要件に該当しない

欠格要件は、申請本人や法人、あるいは法人役員が過去に不正不当行為、営業停止処分に該当している場合です。

まとめ

建設業許可について簡単に整理しました。事業を大きくする予定はない、下請けのままでいいという場合は、建設業許可がなくても営業できます。しかし、大手の下請けなどでは、金額に関わらず建設業許可が必要になる場合があります。事業者としての信用にもなりますので、興味がありましたら、ご相談お待ちしております。

SDGsの甘いわな❷

前回はSDGsについて簡単に解説しました。今回は、とても良い取り組みなんだが、という話。

SDGsとESG

SDGsによく似た言葉で、ESGというのがあります。ESGは環境(environment)、社会(social)、ガバナンス(governance)のことで、主に投資の分野で用いられます。投資家は企業の株価、財務状況、資産、成長などを総合的に判断し、投資を決定します。しかし、環境や社会への問題が大きくなり、そういった課題解決への貢献度のような基準で投資を決定する投資家が増えてきました。企業は自社の利益追求だけでなく、社会的な貢献に積極的になり、投資家に向けてアピールするようになりました。それがESG投資です。なので、内容はほとんど同じというわけです。

やってる感だけの

企業の業績だけでなく、社会貢献度により投資判断がなされる。そこで、企業もこぞってSDGsへの取り組みをアピールするようになりました。何かとこのレインボー・カラーを目にするのはそのためです。しかし、その内容もよくわからずに雰囲気だけでこのロゴを掲げている企業、団体が多いのも事実です。なんとなくいいことをやってる感だけなんです。

本来であれば、数値目標のようなものを掲げ、事業に対する評価を行い、公表すべきところ。そういう取り組みなしに、ちょっとその趣旨に合っているというような雰囲気だけで、SDGsのアイコンを載せている。しかも、社員にはピン・バッジまで付けさせて。グリーンウォッシュ、という言葉があります。実態が伴わないのに、環境に配慮したと表現することです。例えば、CO2削減の根拠がない、排気ガスの数値をごまかす、など。まさしく、SDGsでも起きていて、SDGsウォッシュなんて言葉があるくらいです。

本当にまずい状況にあるという認識

SDGsが掲げる課題について、本当にまずい状況に追い込まれています。今すぐに正しい行動をとらなくてはならない。にもかかわらず、弊社SDGs、やってますんで、というような軽い認識ではとても改善できるレベルではありません。確かに、関心を持ってもらう、注目してもらう、意識してもらう、ということは意味のあることだとは思います。しかし、現在の深刻な状況を考えれば、そんなのんきなことをいってられないと思うのですが。

まとめ

SDGsを知ったのは、何かのセミナーでした。どうしてそのセミナーに参加したのかは覚えてませんが、随分と前のことです。その時はこんな取り組みもあるんだな、くらいの認識でした。それから、状況は良くなったかというと、どうなんでしょうね。

SDGsの甘いわな❶

国連が掲げる持続可能な成長目標、SDGs。あの虹色のアイコン、あちこちで見かけるようになりました。なんとなくいいことのような感じがして、ついつい便乗してしまいがちですが、とっても小難しいんです、SDGs。本当のSDGsを理解して、ちょっとだけ賢くなりましょう。

国連が掲げる、とは

SDGsは、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にある、2030年までに持続可能な世界を目指す、17のゴール、169のターゲットのことです。なぜ国連が取り上げたかというと、資本主義が加速し、地球環境が維持できない。資本主義が加速し、貧富の差が開く。資本主義が良くない結果をもたらしているから、資本主義にブレーキを。しかし、先進国は環境、環境と問題視しているが、途上国の開発に制限をかけ、成長を抑制するのは不平等だ、というのです。

当然の返事だと思います。今までは環境問題なんてのは無視して、生産して消費してを繰り返し、先進国は資本主義のおいしい部分を持っていて、それと引き換えに環境は悪化していったわけです。話がまとまるわけがない。核兵器を所有している国が、所有していない国に対して、所有してはならん、といっているようなものです。

持続可能な、とは

持続可能というのは、例えば石油にエネルギーを依存していては、有限の石油ではいつか地下にある石油が枯渇してしまうので、石油に依存することは持続可能でないということです。しかも、石油を燃料とし、CO2が発生し、地球温暖化となると持続可能でないということです。それから、ビール瓶。ビール瓶のリサイクル率は99%と言われています。ちょっとニュアンスは違いますが、ゴミになることはほとんどないので、いくらでも消費してもかまわないのです。

成長目標、とは

development、成長とか開発という意味です。成長、開発というと、環境問題や労働問題なんかとトレードオフになるわけです。だから、そういった文脈ではマイナスのイメージで語られることが多いです。しかし、成長や開発がなければ貧困の解決は難しいです。

どうしても資本主義は悪となると、成長や開発は語られてはいけない雰囲気になりがちです。なんとなくですが、そうのように感じてしまいます。でも、成長や開発は欠かせないわけで、本当はそこをもっと語ってもらいたいところなのだと、私は思っています。

まとめ

つまり、国連が掲げる・持続可能な・成長目標とは、世界で取り組みながら、誰か・何かを損なうことなく、経済成長を達成する、ということです。ある企業がある商品を作る、そして売る。個人がそれを消費して、ゴミが増える。これが今までの経済モデルでしたが、SDGsはどれだけ消費してもゴミが増えない、だからたくさん消費してください、という意味なんですね。

補助金最新情報(令和4年9月)

新潟県の新しい補助金の情報が入りました。新製品、新技術の開発にかかる補助金です。直近の補助金情報もあわせてご案内します。

イノベーション推進事業

公益社団法人にいがた産業創造機構(NICO)の「イノベーション推進事業」の案内がありました。

「新規性の高い技術等の研究開発事業及び独自の技術やアイデアにより、従来にない画期的な製品開発並びにその販売プロモーションに必要な経費の一部を助成します。」(リーフレットより)

助成金額が100~500万円で、対象経費の1/2以内となっています。対象経費は新技術、新製品開発に係る試作開発、研究及び試作品等の販促PRに係る経費です。この種類の補助金は、革新性をどう伝えるかがキーとなることが多いです。だって、革新性、革新性、っていったって、ちょっと無理があるというものです。期限が10月7日と期限が迫ってますので、すぐに取り掛からなければなりません。

小規模事業者持続化補助金

こちらはご存じかと思いますが、販路開拓等に係る経費の一部を補助するものです。第9回の受付締切が9月20日ですので、今から準備するには難しいです。12月上旬、年明けて2月下旬にそれぞれ第10回、第11回が予定されています。以前は申請すれば、採択されるというイメージでしたが、年々難しい補助金になっています。まだ先だからと思わずに、すぐに取り掛かってください。

ものづくり補助金

いわゆる「もの補助」という補助金で、イノベーション推進事業と似ている内容ですが、こちらは設備投資等を支援する補助金となっています。第12次の受付が10月24日となりますので、まだ間に合うでしょう。

事業再構築補助金

これも注目されている補助金ですので、詳細は省略しますが、現在第7回公募の受付中です。9月30日が締切ですが、次回、第8回公募が年内に予定されています。

事業は計画的に

許認可申請で経営者との面談でよく聞かれるのが、「なんかいい補助金、ない?」です。事業、既存でも新規でも、計画を立てる前にご相談いただければ、許認可申請も補助金もひっくるめてサポートしますが、もう進んでいる状態では許認可申請のスケジュールと補助金申請のスケジュールでは全く別になるため、都合のいいタイミングで補助金がもらえるということ決してありません。わたし自身の営業の下手さもあるわけですが、スタートする前からサポートできるようこうして情報発信していますので、これを読んだ方は、ぜひご相談ください。

まとめ

補助金はタイミングが重要です。交付決定されてもすぐに受け取れるわけではありません。振り込まれるまでの繋ぎの資金が必要になることもあります。ですので、早め、早め、早めの準備をお願いします。スピード感を必要とする事業の場合はそれに相応しい資金調達が必要です。

著作権相談員です

開業してすぐに県会で著作権についての研修会が開催されました。クリエイターのようなこともしていたので、著作権の勉強はしなくてはと受講したんですが、著作権相談員の研修で、後日著作権相談員カードが送られてきました。

著作権とは

著作権について説明する前に、著作物を知る必要があります。

思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(著作権法第2条第1項第1号)

要は、美術、音楽、小説、詩、脚本、演劇、映画、写真、建築、コンピューター・プログラムなどが著作物になります。著作権とはそれらの著作物を勝手に(無断で)使ったり、真似したり、コピーしたりすることは許されないということです。それから著作隣接権という権利もあります。これは、例えば作曲された楽曲の演奏者には演奏者の権利があります。

著作権フリーのケース

著作者の権利を侵害しない、という場合は、著作権フリーとなります。いくつか規定がありますが、関係のありそうなものだけピックアップします。

私的使用のための複製

例えばテレビ番組をビデオ録画する。本来は複製は著作権に引っかかりますが、個人的又は家族内といった範囲であれば私的使用と解釈されます。そもそもは家庭用にビデオが普及されたことから問題となったわけですが、その後にCD、DVDなどデジタル化され、現在はインターネット配信。こういった技術革新に対し著作権をどう守るのか、というのは課題は多いです。

ちなみに、よく職場で上司が気になった新聞のコピーを部下たちに回覧すること、よくあると思いますが、これは私的使用のための複製には該当しません。

引用と無断転載

引用は定められた様式で表現されていれば、許可はいらないとされています。あくまでトピックとして、紹介する、自分の考えを補完する等の目的で利用されますが、あまりに度が過ぎると無断転載と判断されかねません。ネット上の記事はいろいろと問題がありそうです。

著作権の保護期間

著作権には保護期間が定められていて、著作者の死亡の翌年から70年後となっています。70年というととても長いようですが、「ミッキー・マウス」のウォルト・ディズニーは2023年で著作権が切れると言われています。これについては解釈がさまざまなようですが、とにかくディズニー側は保護期間の延長に一生懸命です。最近だと、「くまのプーさん」の保護期間が終わり、早速映画化されました。

著作権と利用許諾契約

著作権は、以下の権利の束のことをいいます。

複製権印刷、コピー、写真撮影、録音、録画などの方法によって著作物を再製する権利
上演権・演奏権著作物を公に上演したり、演奏する権利
上映権著作物を公に上映する権利
公衆送信権著作物を放送・有線放送したり、インターネットにアップロード(送信可能化)したりして、公に伝達する権利
口述権著作物を朗読などの方法で口頭で公に伝える権利
展示権美術の著作物と未発光の写真著作物の、原作品を公に展示する権利
頒布権映画の著作物の複製物を公衆に譲渡・貸与する権利
譲渡権映画以外の著作物の原作品や複製物を譲渡によって公衆に提供する権利
貸与権映画以外の著作物の複製物を貸与によって公衆に提供する権利
翻訳権・翻案権等著作物を翻訳、編曲、変形、翻案する権利
二次的著作物の利用権二次的著作物については、二次的著作物の著作権だけでなく、原著作者も上記の各権利を持つ

著作権は、著作権をめぐる問題は、裁判になることが多いです。しかし、裁判になる前に、問題になる前に、あらかじめ準備しておくことで、回避できることが多いのも事実です。そのひとつが著作権の利用許諾契約を締結することです。

まとめ

著作権はみんな聞いたことがあるのに、いまいちその具体的な内容を知らないという権利のひとつです。著作者本人は、すでに人気作家になっていれば別ですが、その著作物が売れるか売れないかはわからないものです。

まだ売れないクリエイターさん、もう売れているクリエイターさんからの相談、お待ちしております。

スタートアップエコシステムを創造する

伊藤龍史「にいがたアントレプレナー学」の紹介。スタートアップエコシステム、スタートアップが次々と生まれてくる土壌、いちばん有名なのはアメリカのシリコンバレーである。いわゆるIT系のスタートアップがボコボコと生まれた地域である。なぜそれが可能であったのか。それが分かれば、ここ新潟にも作れるはず、というお話。

著者について

新潟大学経済科学部准教授である伊藤龍史氏。私も何度か講演に参加したことがある。経営学が専門で、アントレプレナーシップを研究している。シリコンバレーのあるサンノゼ州立大学に在籍していたこともあり、まさにシリコンバレーを知る人なわけだ。新潟でスタートアップを、ということでその中心にいるといっても過言ではないだろう。ゼミはすごく人気で、一般の方にも、それこそ起業家、あるいは起業家を目指す人にも開かれているというから、その人気も納得できる。

アントレプレナーシップとは

アントレプレナーシップとは、日本語に訳すと少し難しいが、起業家精神というのが近い。本書はこのアントレプレナーシップについての解説と、新潟県内の起業家を紹介していくかたちで構成されている。内容はちょっと難しい。で、結論からいうと新潟にスタートアップエコシステムはできるのか、についてははっきりと書かれてはいない。

ポストコロナとスタートアップ環境

ポストコロナを迎えて、東京一極集中はなくなるのであろうか。東京都の人口が減った、なんてニュースもあったものの、新潟県の人口は減っている。ではどこに行ったのかというと、東京でも新潟でもないのだろう。新潟から出て行く人は増えるし、東京から出る人は新潟でない別のところなのだ。

リモートや副業など、コロナ後に一気に加速した訳だが、地方にとっては非常にチャンスかもしれない。こうして新潟でスタートアップ環境を整えようという姿勢は素晴らしい。しかも、伊藤准教授を中心にしたコミュニティは、他では類を見ない取り組みではなかろうか。ぜひ、多くの方からこの本を手に取ってもらい、新潟を知ってもらいたい。

スタートアップ環境は重要である。スタートアップの成功のカギは、環境だと思う。なので、沢山の起業家、起業家を目指す人に注目してもらいたい。

ファースト・ペンギン。最初にリスクを冒して海に飛び込むペンギンのことである。起業家と似たようなマインドかもしれない。しかし、この動画にあるように、おバカさんで終わるか、リーダーになるかは、その環境に影響されるわけである。

まとめ

新潟にも起業家がいないわけではない。スタートアップ企業がないわけではない。ただ、なんとなくそういう印象が薄い。こうしてひとつにまとめてみると、良い環境が整備されていると知る。こういう取り組みをもっと情報発信していく必要がある。だって、ちょっとしたコワーキングスペースを設けて、キラキラしたセミナー開いて、なんとなくやってる感だけ出したってしょうがないじゃないですか。

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創業融資のポイント

日本政策金融公庫の創業融資のサポートさせていただきました。創業、というとなんとなく難しそうですが、ある意味、創業融資がもっとも借りやすい融資かもしれません。以前、行政書士会の研修で、日本政策金融公庫の職員の方を講師に、創業融資の研修を受けました。創業融資のポイントについてのお話です。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫なんて、聞きなれないかもしれませんが、金融機関のひとつです。公庫となっているので、公の金融機関ということです。各都道府県の主要都市にしかないので、あまり目にすることはないかと思います。

公の金融機関なので、民間と違い、ちょっと借りにくそうなケースを対象としています。創業融資もそうですし、セーフティネットとして、あるいは災害などの復興。民間では借りにくいような場合でも、安心して資金調達できるようになっています。

日本政策金融公庫の創業融資のポイント

創業融資については、3千万円まで借りることができ、しかも無担保・無保証人も可能です。しかし、借りやすい、といっても誰でも借りられるというわけでもありません。もっとも重視されるのは、まじめさ、です。

自己資金

事業に必要な資金、まずは自己資金が必要になります。自己資金の額は融資の要件ではありませんが、自己資金での不足分を借入するというイメージです。一般的には借入金の半分は自己資金が必要といわれています。

しかも、その自己資金、資金の出所です。ちょっと知り合いから借りて自己資金あるように見せかけるようなものは審査はとおりません。開業のために毎月の給料から積み立てていた、というはもっとも熱意が伝わるといわれています。この人は計画的に行動できる、とプラスの材料にもなります。

納税証明書

融資なので、いくら公の金融機関であっても返済してもらわなくてはなりません。きちんと返済できるかどうか、を納税証明書で判断します。納税に対してルーズなのは、決定的なダメージです。

資金繰り表

事業計画を立てて、資金繰り表を作り、資金の不足分を算出します。自己資金も含め、長期の資金計画に基づいて、借入額を計算します。そうした根拠のある数字が肝心で、借りられるだけ借りよう、という魂胆は簡単に見透かされます。

熱意

事業に対する熱意を伝えることです。計画書も重要ですが、面接の時の態度が左右します。つまり、面接した担当者は融資の決裁権はありません。決裁権のある上司が判断しますので、担当者から上司に、自身の熱意を伝えてもらう必要があるからです。担当者のひと押しがあるかないかで結果は大きく変わります。

まとめ

創業には何かとお金がかかるものです。しっかりと計画を立て、しっかりと実施する。そういった何事も、しっかり、やること、つまりまじめに取り組む姿勢が、評価されます。創業融資に関する相談もお待ちしております。

それから、資金計画には生活費も忘れずに計上しましょう。

経済産業省被災中小企業・小規模事業者対策について

東北・北陸での記録的大雨で被災された皆様には、心からお見舞い申し上げます。この度、災害救助法が適用されたことを踏まえ、被災中小企業・小規模事業者対策が発表されました。今日はそのお話。

被災中小企業・小規模事業者対策とは

8月3日からの大雨による災害に関して、山形県及び新潟県の6市6町1村、石川県の6市1町に災害救助法が適用されました。

令和4年8月3日からの大雨による災害に関して被災中小企業・小規模事業者対策を行います(経済産業省HP)

特別相談窓口の設置

山形県、新潟県及び石川県の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会及びよろず支援拠点等で、特別相談窓口が設置されます。

令和4年8月3日からの大雨による災害に関する特別相談窓口一覧(経済産業省HP)

災害復旧貸付の実施

今般の大雨により被害を受けた中小企業・小規模事業者を対象に、山形県、新潟県及び石川県の日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫が運転資金又は設備資金を融資する災害復旧貸付を実施されます。

国民生活事業で3千万円まで、中小企業事業で1億5千万円までの融資が受けられます。国民生活事業が小規模事業者や個人事業主を対象に融資を行うことに対し、中小企業事業では資本金1,000万円以上の中小企業を対象に融資を行っています。

日本政策金融公庫の災害復旧貸付の概要(経済産業省HP)

セーフティネット保証4号の適用

セーフティネット保証4号とは、信用保証協会が一般保証とは別枠の限度額で融資額100%を保証されるものです。地域の指定は後日告知される予定ですが、事前相談が受けられます。

セーフティネット保証4号の概要(経済産業省HP)

既往債務の返済条件緩和等の対応

山形県、新潟県及び石川県の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫及び信用保証協会に対して、返済猶予等の既往債務の条件変更、貸出手続きの迅速化及び担保徴求の弾力化を要請するもので、これによりリスケなど柔軟に対応してもらえることが期待できます。

小規模企業共済災害時貸付の適用

中小企業基盤整備機構が原則として即日で低利で融資を行う災害時貸付を実施します。

小規模企業共済災害時貸付の概要(経済産業省HP)

まとめ

生活再建もままならない状況かとは思いますが、該当する方は早めに事前相談されることをおすすめします。前回お話しした罹災証明書が必要なケースもありますので、そちらもあらためてご覧ください。

罹災証明書の基礎知識

罹災証明書の基礎知識

東北・北陸での記録的大雨で被災された皆様には、心からお見舞い申し上げます。河川氾濫、土砂災害、住宅浸水と多大なる被害をもたらした記録的大雨でした。今後、復旧に向けても何かと大変かと思いますが、今回は罹災証明書についてお話しします。

罹災証明書とは

罹災(りさい)証明書とは、災害対策基本法で定められたもので、市町村がその被害の程度を証明するものです。被災者の申請により、市町村が調査するもので、新潟県中越地震以後に法制化されたと記憶しています。主に支援措置等の適用に必要な書類となっています。住宅の損害の程度によって、被害状況を示しています。

災害の種類

災害の種類は、水害、地震、風害、火災などで、その種類によって調査します。地震の場合は見た目だけでなく、構造的に損傷がないかというところまで調査します。反対に水害の場合は床上浸水は半壊以上と簡単な調査で済むこともあります。国で指定されるような大きな規模の災害は一斉に調査されますが、規模の大きさに関わらず申請することは可能です。

被害の程度

被害の程度は、損害の割合に応じて3段階に分類されます。

全壊

修繕の難しい状況です。通常であれば取り壊しなければならない場合で、最も被害の大きいものです。見た目には被害がないようでも、住宅の躯体に相当の歪みがあったり、建屋に損害がなくても地盤に直接被害がある場合にもこれに相当します。

大規模半壊

全壊に準じた状況です。修繕は可能であるが、大掛かりな修繕が必要となるようなもの。あるいは取り壊ししなければならないような被害です。

半壊

修繕が必要な被害があったことを示すものです。修繕可能な被害はほとんどこれに該当します。

半壊に至らない(一部損壊)

応急修理で対応できる程度の状況を示すものです。

活用できる支援

被害の程度により、活用できる支援は異なります。義援金や支援金などの給付。災害関連の融資。税金や公共料金等の減免。仮設住宅の入居。それ以外にも保険等でも必要になる場合もあります。

よくある質問

調査をしていてよくある質問をいくつかまとめました。

災害が原因であると特定できない

家屋の場合は、経年により劣化していくものです。地震の場合、古い家屋には、もしかしたら、前にあった地震で壁にひびが入ったことも考えられるわけです。もちろん今回の地震による被害のみが被害の状況を示すものですが、このあたりについては、市町村が取り扱いを定めるようです。

応急危険度判定との違い

よく間違われる制度としては、地震の応急危険度判定があります。これは都道府県が実施するもので、被災建築物の調査により、使用の可否、注意喚起を行うものです。「調査済」、「要注意」、「危険」に区分され、罹災証明書と似ていますが、これは建物の倒壊による二次災害を防ぐためのものです。「危険」と赤紙を貼られた建物でも、必ずしも「全壊」に該当するとはかぎりません。

再調査も可

被害認定の調査は目視、聴取で、住人立会いにより実施しますので、より正確な調査といえますが、見落としや聞き逃しなどもあるわけで、調査結果に納得できない場合は、再調査も可能です。

まとめ

再建に向けては何かと大変な思いをされるかと思いますが、罹災証明書はその支援を受けるためにはなくてはならないものです。調査にあたってはできるだけ被害の情報を提供できるように準備することをおすすめします。

燃油等高騰対応省エネルギー対策等整備事業の話を聞いてきた

いきなり発表のあった燃油等高騰対応省エネルギー対策等整備事業。いやーこれはすばらしい、と早速、担当者から聞いてきました。

昨今のトレンド

コロナ禍、ウクライナ情勢で日に日に農業を取り巻くは悪くなりつつあります。その中でも燃油と肥料の高騰は経営そのものを直撃します。なのでこういう支援というのは本当にありがたいことです。しかし、そう簡単でもなさそうな雰囲気でした。農業関係ではもうその要件を満たしていれば即、OKという補助金がほとんだったわけですが、昨今のトレンドとして、成果を求められるわけです。

ここでいう成果とは、「燃油使用量又は肥料費が基準より10%以上低減することが見込まれること」です。この成果というのは最も農家が嫌がります。

2つのポイント

2つのポイントというのは、誰もがこの事業に引っかかる穴のことです。ただこの2つをクリアすれば、グッと採択が近づきます。

現状を把握できるのか

先ほどの成果ですが、現状と比較して目標年(令和6年)に10%以上低減となるので、現状値を設定します。この現状値は過去3年間の実績の平均となるわけですが、正直なところわかりません、ということろです。例えば、機械を変えるとして、その機械の燃料費を算出している農家はほぼありません。しかしそれがないと現状値は測れないというわけです。説明ではできるだけ客観性のある資料の提出をお願いしているところでした。それだってあやしいとは思いますが。

納期は絶対

採択は9月を予定しているが県の事業のため、10月になることも考えられる、との回答がありました。事業自体が令和4年度ですので、令和5年3月に納品されていなければなりません。あらかじめ決めておくことはできず、入札がありますので、それを採択して、入札して、発注して、納品となるわけですが、モノによってはギリギリのスケジュール感です。

肥料はほぼほぼないかも

肥料費も対象となっていますが、肥料高騰については普通に10%以上の値上がりし続けている現状ではほぼ該当ないかもしれません。目標年の令和6年にはいくらになっていることやら。この制度を活用するには、全体的に施肥体系を見直すかしないとダメな印象です。

まとめ

現段階では申請の前の要望調査なので、少しでも該当しそうなら相談することをお勧めします。期限が迫ってますので、検討されている方はお急ぎください。