デザインのよみかた、のききかた

デザイン、デザイン、とよく言ってますが、デザインのよみかた、をきいてみたいと思います。

デザインのよみかた、をきく。というのは、ポッドキャストの「デザインのよみかた」を聞く、ということです。

大林寛(OVERKAST代表/ÉKRITS編集長)と中村将大(帝京平成大学 助教)がデザインの基礎課程をプロトタイピングするプロジェクト「デザインのよみかた」のポッドキャスト。ゲストを招いたトーク、デザイン名著とされる本の読み解き、デザイン講義の後日談など、デザインにまつわる他愛のない話を不定期でお届けします。readdesign.jp

タイトルにつられて、ついつい聞いてしまいましたが、これが全く頭に入ってこない。ちょっと聞きづらいこともあって、全く頭に入ってこない。ポッドキャストの音質はとても重要です。内容は良いと思い、一生懸命に聞こうとするけど、続かない。そんなんで、聞かなくなってしまった。

そのままフォローはしていたので、アップされると通知されるのですが、ふとヴァージル・アブローの「ダイアローグ」(平岩壮悟訳、アダチプレス)の読み解き回があって、これなら聞いてみようと聞いてみると、なるほどおもしろい。ちょっと調べたら、HPもあって、インスタもある。こうして視覚的に情報があると、聞ける。そういうことです。

https://readdesign.jp

ポッドキャストは音声コンテンツなので、音だけなんです。当たり前ですが。なので、それだけ聞いているだけでは、なかなか頭に入ってこないわけですが、ちょっとこういうのがあると、ほう、ほう、となるんですね。

大学とかでも教えているようなふたりの会話なので、ゲストもあることもありますが、ちょっと難しいと感じるかもしれません。でも、HPやら、インスタやら、文献やらをフルに活用すれば、無料でデザインの授業を受けることができるようなものです。しかもインスタは教室の黒板みたいで。確かにそういうところまでデザインされているのだろうと思いました。

というわけで、おすすめコンテンツでした。

追記:「複雑なタイトルをここに」の読み解き回を希望します。

ビジネスの基本

農事組合法人の代表もしています。この時期は、もう農繁期で農作業の合間に仕事してます。5月になったら田植えがはじまるので、今はもっぱら田んぼで作業です。そこで活躍するのがトラクター。うちのトラクターは親戚が離農して、譲ってもらったもので、随分と古いものです。それでもまだまだ活躍してもらわねばなりません。しかし、突然ですが、壊れました。

アタッチメントを操作する油圧シリンダーから、オイルが漏れています。ちょうどその日の作業を終えて、トラクターを降りるとオイルの匂いがする。急いで農機具店に連絡して、修理してもらうことに。すぐに対応してくれて、メーカーに部品を取り寄せるとのこと。安心していた矢先、担当者から電話があって、部品がない、という。つまり、もうこのトラクターは使えないということです。しばらく頭が真っ白になった。まだ春作業ははじまったばかり。

昨年、相続のお客様で、その方も農業されていて、近所にどんなに古い農機具もなおす人がいて、本当にありがたい、なんて話を聞いてまして、あ、とそのことを思い出しました。多分その人を私は知っている、はず。うちの子の同級生のお父さんだったような。すぐに電話番号を調べて、連絡しました。

要件を伝えると、すぐに見に来てくれました。これならおそらくなおるな、と。昨日はこの2つ前の型のトラクター修理したばかりっすよ、と。さっきまでメーカーの営業さん来てたんで、すぐ確認します。そして、修理できると。

前の農機具店さんは、この油圧シリンダーがない、ということらしい。しかし、この彼は油圧シリンダーを修理するわけです。

客の課題を解決する、まさにビジネスの基本を感じました。

トラクターが壊れた → 油圧シリンダーが壊れた

ここで終わったのが、農機具店さん。

トラクターが壊れた → 油圧シリンダーが壊れた → 油圧シリンダーを修理 → トラクター、なおった

ただモノ、サービスを売るのではなく、それをとおして客の課題を解決する。ドラッカーの例えにでもできてきそうな話でした。

こんにちは、銀行融資診断士です

1月10日の日経新聞の記事から、

「ゼロゼロ融資」借り換え保証 中小企業庁がきょう開始

いわゆるコロナ融資ですが、コロナだけでなく、円安、原油高、供給不足などなど、もう何重苦かったっていう3年間でした。ちょうど今頃でしたっけ。とにかくこのコロナ融資のおかげで、倒産も抑えることができ、雇用も維持できたわけです。で、返済が、っていう話です。

ゾンビ企業

コロナ融資でゾンビ化した企業、ゾンビ企業。そもそもゾンビは資本主義に端を発するっていうの、知ってますか。詳細は忘れましたが、アメリカの大農場で、何かしらの奴隷の制限みたいなのがあって、奴隷が死んだことにして、新たに奴隷を増やして従事させる。死んだことにした奴隷は、夜に作業させていた、らしいです。いかにも資本主義的な話です。

しかし、昨年は倒産件数が増えています。物価高、人手不足、状況はコロナ前よりも悪くなっています。しかも、コロナ融資の返済です。

まずは現状の把握から

まずは現状の把握からはじめます。BSで資産、負債をよく見直して、再評価して、実態を正確に把握します。PLで事業の詳細を調べます。できれば3期分あると、よりその傾向がわかります。経理は任せっぱなし、税理士に丸投げ、ではなくしっかりと自分の目で確かめましょう。

銀行融資診断士です

先月、銀行融資診断士に合格しました。読んで字の如くですが、融資が可能かどうかをアドバイスするわけです。財務コンサルタント、社外CFOとして経営者のサポートいたします。ご相談お待ちしております。

SDGsの甘いわな❷

前回はSDGsについて簡単に解説しました。今回は、とても良い取り組みなんだが、という話。

SDGsとESG

SDGsによく似た言葉で、ESGというのがあります。ESGは環境(environment)、社会(social)、ガバナンス(governance)のことで、主に投資の分野で用いられます。投資家は企業の株価、財務状況、資産、成長などを総合的に判断し、投資を決定します。しかし、環境や社会への問題が大きくなり、そういった課題解決への貢献度のような基準で投資を決定する投資家が増えてきました。企業は自社の利益追求だけでなく、社会的な貢献に積極的になり、投資家に向けてアピールするようになりました。それがESG投資です。なので、内容はほとんど同じというわけです。

やってる感だけの

企業の業績だけでなく、社会貢献度により投資判断がなされる。そこで、企業もこぞってSDGsへの取り組みをアピールするようになりました。何かとこのレインボー・カラーを目にするのはそのためです。しかし、その内容もよくわからずに雰囲気だけでこのロゴを掲げている企業、団体が多いのも事実です。なんとなくいいことをやってる感だけなんです。

本来であれば、数値目標のようなものを掲げ、事業に対する評価を行い、公表すべきところ。そういう取り組みなしに、ちょっとその趣旨に合っているというような雰囲気だけで、SDGsのアイコンを載せている。しかも、社員にはピン・バッジまで付けさせて。グリーンウォッシュ、という言葉があります。実態が伴わないのに、環境に配慮したと表現することです。例えば、CO2削減の根拠がない、排気ガスの数値をごまかす、など。まさしく、SDGsでも起きていて、SDGsウォッシュなんて言葉があるくらいです。

本当にまずい状況にあるという認識

SDGsが掲げる課題について、本当にまずい状況に追い込まれています。今すぐに正しい行動をとらなくてはならない。にもかかわらず、弊社SDGs、やってますんで、というような軽い認識ではとても改善できるレベルではありません。確かに、関心を持ってもらう、注目してもらう、意識してもらう、ということは意味のあることだとは思います。しかし、現在の深刻な状況を考えれば、そんなのんきなことをいってられないと思うのですが。

まとめ

SDGsを知ったのは、何かのセミナーでした。どうしてそのセミナーに参加したのかは覚えてませんが、随分と前のことです。その時はこんな取り組みもあるんだな、くらいの認識でした。それから、状況は良くなったかというと、どうなんでしょうね。

SDGsの甘いわな❶

国連が掲げる持続可能な成長目標、SDGs。あの虹色のアイコン、あちこちで見かけるようになりました。なんとなくいいことのような感じがして、ついつい便乗してしまいがちですが、とっても小難しいんです、SDGs。本当のSDGsを理解して、ちょっとだけ賢くなりましょう。

国連が掲げる、とは

SDGsは、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にある、2030年までに持続可能な世界を目指す、17のゴール、169のターゲットのことです。なぜ国連が取り上げたかというと、資本主義が加速し、地球環境が維持できない。資本主義が加速し、貧富の差が開く。資本主義が良くない結果をもたらしているから、資本主義にブレーキを。しかし、先進国は環境、環境と問題視しているが、途上国の開発に制限をかけ、成長を抑制するのは不平等だ、というのです。

当然の返事だと思います。今までは環境問題なんてのは無視して、生産して消費してを繰り返し、先進国は資本主義のおいしい部分を持っていて、それと引き換えに環境は悪化していったわけです。話がまとまるわけがない。核兵器を所有している国が、所有していない国に対して、所有してはならん、といっているようなものです。

持続可能な、とは

持続可能というのは、例えば石油にエネルギーを依存していては、有限の石油ではいつか地下にある石油が枯渇してしまうので、石油に依存することは持続可能でないということです。しかも、石油を燃料とし、CO2が発生し、地球温暖化となると持続可能でないということです。それから、ビール瓶。ビール瓶のリサイクル率は99%と言われています。ちょっとニュアンスは違いますが、ゴミになることはほとんどないので、いくらでも消費してもかまわないのです。

成長目標、とは

development、成長とか開発という意味です。成長、開発というと、環境問題や労働問題なんかとトレードオフになるわけです。だから、そういった文脈ではマイナスのイメージで語られることが多いです。しかし、成長や開発がなければ貧困の解決は難しいです。

どうしても資本主義は悪となると、成長や開発は語られてはいけない雰囲気になりがちです。なんとなくですが、そうのように感じてしまいます。でも、成長や開発は欠かせないわけで、本当はそこをもっと語ってもらいたいところなのだと、私は思っています。

まとめ

つまり、国連が掲げる・持続可能な・成長目標とは、世界で取り組みながら、誰か・何かを損なうことなく、経済成長を達成する、ということです。ある企業がある商品を作る、そして売る。個人がそれを消費して、ゴミが増える。これが今までの経済モデルでしたが、SDGsはどれだけ消費してもゴミが増えない、だからたくさん消費してください、という意味なんですね。

補助金最新情報(令和4年9月)

新潟県の新しい補助金の情報が入りました。新製品、新技術の開発にかかる補助金です。直近の補助金情報もあわせてご案内します。

イノベーション推進事業

公益社団法人にいがた産業創造機構(NICO)の「イノベーション推進事業」の案内がありました。

「新規性の高い技術等の研究開発事業及び独自の技術やアイデアにより、従来にない画期的な製品開発並びにその販売プロモーションに必要な経費の一部を助成します。」(リーフレットより)

助成金額が100~500万円で、対象経費の1/2以内となっています。対象経費は新技術、新製品開発に係る試作開発、研究及び試作品等の販促PRに係る経費です。この種類の補助金は、革新性をどう伝えるかがキーとなることが多いです。だって、革新性、革新性、っていったって、ちょっと無理があるというものです。期限が10月7日と期限が迫ってますので、すぐに取り掛からなければなりません。

小規模事業者持続化補助金

こちらはご存じかと思いますが、販路開拓等に係る経費の一部を補助するものです。第9回の受付締切が9月20日ですので、今から準備するには難しいです。12月上旬、年明けて2月下旬にそれぞれ第10回、第11回が予定されています。以前は申請すれば、採択されるというイメージでしたが、年々難しい補助金になっています。まだ先だからと思わずに、すぐに取り掛かってください。

ものづくり補助金

いわゆる「もの補助」という補助金で、イノベーション推進事業と似ている内容ですが、こちらは設備投資等を支援する補助金となっています。第12次の受付が10月24日となりますので、まだ間に合うでしょう。

事業再構築補助金

これも注目されている補助金ですので、詳細は省略しますが、現在第7回公募の受付中です。9月30日が締切ですが、次回、第8回公募が年内に予定されています。

事業は計画的に

許認可申請で経営者との面談でよく聞かれるのが、「なんかいい補助金、ない?」です。事業、既存でも新規でも、計画を立てる前にご相談いただければ、許認可申請も補助金もひっくるめてサポートしますが、もう進んでいる状態では許認可申請のスケジュールと補助金申請のスケジュールでは全く別になるため、都合のいいタイミングで補助金がもらえるということ決してありません。わたし自身の営業の下手さもあるわけですが、スタートする前からサポートできるようこうして情報発信していますので、これを読んだ方は、ぜひご相談ください。

まとめ

補助金はタイミングが重要です。交付決定されてもすぐに受け取れるわけではありません。振り込まれるまでの繋ぎの資金が必要になることもあります。ですので、早め、早め、早めの準備をお願いします。スピード感を必要とする事業の場合はそれに相応しい資金調達が必要です。

スタートアップエコシステムを創造する

伊藤龍史「にいがたアントレプレナー学」の紹介。スタートアップエコシステム、スタートアップが次々と生まれてくる土壌、いちばん有名なのはアメリカのシリコンバレーである。いわゆるIT系のスタートアップがボコボコと生まれた地域である。なぜそれが可能であったのか。それが分かれば、ここ新潟にも作れるはず、というお話。

著者について

新潟大学経済科学部准教授である伊藤龍史氏。私も何度か講演に参加したことがある。経営学が専門で、アントレプレナーシップを研究している。シリコンバレーのあるサンノゼ州立大学に在籍していたこともあり、まさにシリコンバレーを知る人なわけだ。新潟でスタートアップを、ということでその中心にいるといっても過言ではないだろう。ゼミはすごく人気で、一般の方にも、それこそ起業家、あるいは起業家を目指す人にも開かれているというから、その人気も納得できる。

アントレプレナーシップとは

アントレプレナーシップとは、日本語に訳すと少し難しいが、起業家精神というのが近い。本書はこのアントレプレナーシップについての解説と、新潟県内の起業家を紹介していくかたちで構成されている。内容はちょっと難しい。で、結論からいうと新潟にスタートアップエコシステムはできるのか、についてははっきりと書かれてはいない。

ポストコロナとスタートアップ環境

ポストコロナを迎えて、東京一極集中はなくなるのであろうか。東京都の人口が減った、なんてニュースもあったものの、新潟県の人口は減っている。ではどこに行ったのかというと、東京でも新潟でもないのだろう。新潟から出て行く人は増えるし、東京から出る人は新潟でない別のところなのだ。

リモートや副業など、コロナ後に一気に加速した訳だが、地方にとっては非常にチャンスかもしれない。こうして新潟でスタートアップ環境を整えようという姿勢は素晴らしい。しかも、伊藤准教授を中心にしたコミュニティは、他では類を見ない取り組みではなかろうか。ぜひ、多くの方からこの本を手に取ってもらい、新潟を知ってもらいたい。

スタートアップ環境は重要である。スタートアップの成功のカギは、環境だと思う。なので、沢山の起業家、起業家を目指す人に注目してもらいたい。

ファースト・ペンギン。最初にリスクを冒して海に飛び込むペンギンのことである。起業家と似たようなマインドかもしれない。しかし、この動画にあるように、おバカさんで終わるか、リーダーになるかは、その環境に影響されるわけである。

まとめ

新潟にも起業家がいないわけではない。スタートアップ企業がないわけではない。ただ、なんとなくそういう印象が薄い。こうしてひとつにまとめてみると、良い環境が整備されていると知る。こういう取り組みをもっと情報発信していく必要がある。だって、ちょっとしたコワーキングスペースを設けて、キラキラしたセミナー開いて、なんとなくやってる感だけ出したってしょうがないじゃないですか。

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創業融資のポイント

日本政策金融公庫の創業融資のサポートさせていただきました。創業、というとなんとなく難しそうですが、ある意味、創業融資がもっとも借りやすい融資かもしれません。以前、行政書士会の研修で、日本政策金融公庫の職員の方を講師に、創業融資の研修を受けました。創業融資のポイントについてのお話です。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫なんて、聞きなれないかもしれませんが、金融機関のひとつです。公庫となっているので、公の金融機関ということです。各都道府県の主要都市にしかないので、あまり目にすることはないかと思います。

公の金融機関なので、民間と違い、ちょっと借りにくそうなケースを対象としています。創業融資もそうですし、セーフティネットとして、あるいは災害などの復興。民間では借りにくいような場合でも、安心して資金調達できるようになっています。

日本政策金融公庫の創業融資のポイント

創業融資については、3千万円まで借りることができ、しかも無担保・無保証人も可能です。しかし、借りやすい、といっても誰でも借りられるというわけでもありません。もっとも重視されるのは、まじめさ、です。

自己資金

事業に必要な資金、まずは自己資金が必要になります。自己資金の額は融資の要件ではありませんが、自己資金での不足分を借入するというイメージです。一般的には借入金の半分は自己資金が必要といわれています。

しかも、その自己資金、資金の出所です。ちょっと知り合いから借りて自己資金あるように見せかけるようなものは審査はとおりません。開業のために毎月の給料から積み立てていた、というはもっとも熱意が伝わるといわれています。この人は計画的に行動できる、とプラスの材料にもなります。

納税証明書

融資なので、いくら公の金融機関であっても返済してもらわなくてはなりません。きちんと返済できるかどうか、を納税証明書で判断します。納税に対してルーズなのは、決定的なダメージです。

資金繰り表

事業計画を立てて、資金繰り表を作り、資金の不足分を算出します。自己資金も含め、長期の資金計画に基づいて、借入額を計算します。そうした根拠のある数字が肝心で、借りられるだけ借りよう、という魂胆は簡単に見透かされます。

熱意

事業に対する熱意を伝えることです。計画書も重要ですが、面接の時の態度が左右します。つまり、面接した担当者は融資の決裁権はありません。決裁権のある上司が判断しますので、担当者から上司に、自身の熱意を伝えてもらう必要があるからです。担当者のひと押しがあるかないかで結果は大きく変わります。

まとめ

創業には何かとお金がかかるものです。しっかりと計画を立て、しっかりと実施する。そういった何事も、しっかり、やること、つまりまじめに取り組む姿勢が、評価されます。創業融資に関する相談もお待ちしております。

それから、資金計画には生活費も忘れずに計上しましょう。

「1本5000円のレンコンがバカ売れする理由」の本当の理由②

前回に続き、「1本5000円のレンコンがバカ売れする理由」が他の業種に応用できないかを考えてみます。

何を売るのか

もちろん、マーケットを見て、売れるものを決めるというやり方もありますが、まずは何が売れるのかが必要です。ここではレンコンですが、読み進めていくと普通のレンコンではありませんでした。先代のこだわりと技術とそれから伝統。ただのレンコンでないということがこの商品の強みとなっていたわけです。なのでその強みがない場合であっても同じようになったかというと、難しかったでしょう。しかし、強みというのはあくまで相対的なものなので、どんなものであっても何も強みがないということはありません。

値段を決める

前にも価格決定のお話をしましたが、価格は顧客が買ってくれる最高値が利益を最大化できるわけです。なのでいくらで売るかということは、経営の最重要課題ということです。コストが高くて、利益が出ないという状況は、売れば売るほど赤字になるということですので、すぐにやめるべきです(農業においてはこれは日常ではありますが)。これも前述になりますが、松竹梅戦略は有効のようですね。

顧客を探す

さて、その値段で買ってくれる顧客を見つけなくてはなりません。この本に書かれているのは、営業、営業、そして営業でした。レンコンという商品の特徴かもしれませんが、B to Cというよりは、B to Bの傾向が強いからかもしれません。なかなか家庭でレンコン料理というよりは、料亭、割烹などで食べる機会のほうが多い感じがします。どこにそういう顧客がいるのかを探し出さないとビジネスは成り立ちませんので、どこにアプローチするかというのは重要です。そこを間違えると顧客にたどりつかないなんてことも。

買うまでのプロセスを知る

顧客がその商品を買うまでのプロセス、つまりカスタマー・ジャーニー。前にもお話ししましたが、ジャーニーです。この本ではレンコンの生産者が消費者に対して、そこ気にする?ってなるところがあります。生産して出荷しているだけでは気が付かなかったことでしょう。消費者目線で、とはよくいわれますが、実際にそう試みようとしても、案外自分の思い込みだったり、間違った先入観だったりで、分からないものです。

再現性はあるのか

ビジネスにおいて、最も重要となるのが再現性です。たまたま売れた、たまたま儲かった、ではほぼギャンブルです。なんらかの仕掛けに対して、同じようなリアクションが求められるわけです。それに対しての経費を計算し、売上を見込み、投資して、売上から利益を出す、のがビジネスですので、投資を回収する段取りをするのが経営者といえます。この本ではその部分は詳しく書かれていませんが、それぞれの取り組みが相乗的に実現したのだと想像します。

まとめ

コンテンツ、プライス、カスタマー、そしてビジネス・モデル。仕組み化のところで、もう少し詳しい説明が欲しいところですが、それでもビジネス書として参考になることばかりです。農業という特殊な分野ではありますが、きっと何かのヒントになるかと思います。

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「1本5000円のレンコンがバカ売れする理由」の本当の理由①

農事組合法人の代表理事をおおせつかっております。農業を取り巻く環境は日に日に悪くなるばかりで、なんとかならないものかと手に取った1冊です。農業、特に米農家でこれが可能なのか、また他のビジネスの教訓となるのか、について考えてみました。

筆者について

筆者は農家で、民俗学専攻の社会学博士。これだけでこの本が面白いものだと感じます。農業、とりわけ農村のさまざまな事象を丁寧に説明しています。農業というひとつの産業として捉えてみても、結局は経済学、経営学的に理解できない部分が多すぎるわけで、こういうところは社会学者、しかも民俗学者としての考察がとてもいいです。

結論からいうと

いきなり結論からいうと、1本5000円のレンコンがバカ売れする理由は、そういう要因があったから、ということでした。

ブランドではないがいいレンコン

親の代からレンコン栽培のノウハウがあり、こだわりがあり、もともとのポテンシャルはあったということです。レンコン専業ということから考えても、一般の農家とは相当の格差があるわけです。

営業、営業、そして営業

ブランディングとか、マーケティングとか、戦略とか、いろいろとトピックはあるものの、結局は営業から顧客を獲得した印象が強い。もちろん、5000円のレンコンという差別化、パッケージのデザイン、伝統というコピーライティング、それぞれが戦略的に取り組んでいるが、それだけではバカ売れに至っていない。営業しまくって、ちょっとずつ浸透させていった様子がわかります。

野菜は目で食べる

農業独自の課題として、製品の見た目の良さについては、如何ともし難いジレンマを抱えています。本来、食べ物なのだから美味しければいい、というわけにはいかず、味はともかくまずは見た目。とにかく見た目が良くないと、消費者が手にしてくれないというジレンマがあるのです。一般的に食味コンテストなどを開いて、おいしさをアピールしてはいるが、メディアへの話題提供にしかなっていない感が否めない。

どうやって届けるのか

例えばJAに出荷していれば、手数料などなどバカになりません。そのコストを抑えることはできるものの、自分で売り先、配送業者を探して、手配するとなると莫大な手間なわけです。そこのバランスを見誤ると、大変なことに。

まとめ

筆者はこうしていくつもの課題をクリアして、1本5000円のレンコンがバカ売れするようになったわけです。なので、米農家がそう簡単に真似できるようなものではないようですね。ちょっと長くなったので、次回は他の業種への教訓について考えてみます。

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